自分史

近況・その2 (2003年6月)

 パレスチナホテルというのが世界的に有名になってしまったが、砲撃された15階のロイターの記者が泊まっていた部屋のすぐ上、16階の同じ角部屋がオレの部屋だった!

 衝撃的な映像を見ながら、まったく同じ構造の部屋を見て、まさに生々しいことこの上なかった。

 あのベランダに出て、いつも大統領宮殿を眺め、下の道路に停めてあるイギリスからヒューマンシールドとして来た二台の二階建てバスを見下ろしていたのだ。

 4000年の悠久の歴史を流れつづけるチグリス川を眺めながら、見る限り荒川のほうが立派に見えるぞとホテルの中二階のネットカフェからメールしたのが記憶に新しい。 

 しかしアメリカ軍が攻撃の事実を認めたとは言え、何とも納得し難いものが残っているのは否めない。

 戦車砲弾であったら、部屋全部が吹っ飛んでいるだろうし、あんな壁の傷で済むわけがなく、機関銃弾であれば、炸裂音がすることもない。

 なら、あの部屋を攻撃したのは何であったのだろうか。

 オレサイドの予想をまとめると40ミリグレネードがぶち込まれたと見るのが妥当だ。

 となると、地上にいるアメリカ軍兵士が撃ったのか、イラク軍のRPG竏窒Vでもあるまい。真相は闇に葬られるのかな・・・・。

 イスラムの国に来たことで、知識としては知ってはいるのだがということが数多くあった。まずバーがたくさんあるのだが、そこでは酒が出ることはない。コーラかジュースがメニューにあるだけである。

 コーラと言えば、ペプシしかなくて、コカコーラはユダヤ資本だから飲まないのだそうだ。イスラエルも化学兵器を積んだミサイルに戦々恐々としている折り、イラク人達との席上で、「スカッド爽やかコカコーラ♪」と言ってみたのだが、誰にもわかるはずもなかった。(もちろん、スカッドミサイルと『スカッとさわやか』をかけたのだが)

 しかし驚くべき事実を先日、入手してしまった。

 国として認められていないパレスチナをFIFA(世界サッカー連盟)は認めており、ワールドカップにも出場させているわけだが、そのスポンサーというのがコカコーラだというのだ。

 これには驚いた。何に驚いたって、双方のそのしたたかさに驚いたのだ。

 パレスチナ側もユダヤ資本とわかっていてスポンサードしてもらっているし、コカコーラも、我々はパレスティナを応援している、ということなんだろう。

 バクダッドでの、さるパーティー会場でパレスチナからやってきていたPFLPの青年達と意気投合してしまった。

 みんな赤と白のお馴染みのケフィーヤをまとい全員革ジャンで決めている。

 オレの事務所はPANTA・FLYING・PUBLISHERSで、PFLPだというと大喜びされて困ってしまった。

 軽い冗談に受けまくられると、どうリアクションしていいかわからなくなるというのも実感出来た夜であった。

 彼らにしてみれば、サダム・フセインはアラブ諸国のなかでも自分たちを強く応援してくれている。

 独裁であろうとなかろうと、自分たちの味方であることには違いない。

 日本もイラクには好かれている。何かというと広島・長崎が引き合いに出されて彼らと同じ体験を持つ国として、非常に親近感をもたれているのだ。

 少なくとも小泉さんがブッシュに同調するまでは。

 同じようにドイツ人はアラブ諸国の中で非常に好かれている存在である。

 それは今度の国連決議でフランスと並んで非戦を貫いたからではなく、ただ単にユダヤ人をたくさん殺したという一点からである

(2003年6月)

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